トンボ鉛筆の鉛筆いろいろ
2010年代に公開していたトンボ鉛筆の鉛筆色々な記事が、ここに復活。
若草のロングセラーと、黒軸の高級鉛筆と、いろいろ関係ありそうなものをまとめて
トンボ鉛筆 緑の8900番など
このセクションの更新日時は2013年1月15日です。
お店でも、普段の事務机、勉強机などで、お目にかからないことはないでしょう。トンボ鉛筆から長らく発売されている緑色の「8900番」鉛筆は、発売から相当な時間が流れています。その緑色は、「若草色」などと言われることもあるようです。また発売時期ごとに、8900番という名前は変わらずとも、見た目の異なるたくさんの種類があるようです。
8900番
この鉛筆は、トンボ鉛筆の鉛筆ブランドでは一番下の「安価普及型」にあたります。硬さの幅も、硬いほうから2H・H・F・HB・B・2Bと製造されています(Fは冷遇されていて、なかなか見つからない)
たくさんの8900番・・・大体写真上が古いものです。一番上の鉛筆には、てかりを出すニスのようなものが塗られておらず、さらさらしています。2013年現在、8900番を購入してお目にかかるのが、一番下の1本です。また近年、生産国も日本から変えられたのか、この裏側の白文字から「JAPAN」が消えました。
1990年ごろ、8900番鉛筆は大きなデザインの変更が行われ、現在のデザインに なりました。
(旧) MADE BY H.O.P. Micro Crystallite Tombow ロゴ -8900 *HB*
(新) SINCE 1913 HIGH QUALITY ロゴ TOMBOW -8900 HB>
昭和40年代に製造された8900番鉛筆は、金字の印刷の質感が、現在の8900番とは違ってざらざらしたものになっています。てかてかと光らないこの印刷はなかなかかっこいいものですが、つめで簡単にはがせたり、ここにカビが生えたりしてしまうので、きれいに使うには気を使います。
下の8900番鉛筆は、現在の8900番に使われる印刷の質感に似ています。こちらのほうが、こすれやカビに強いようです。
8900鉛筆の紙箱たち
2013年の現行品には、上の画像のものに、生産国表示が加えられているようです。
箱に印刷されている「H.O.P.」とは、どうやら創業者である小川春之助の商標(HARUNOSUKE OGAWA PENCIL)にちなんだものらしいです。現在の8900番には、「H.O.P」としか箱に印刷されていないし、解説も無いので調べてみないと意味が分かりませんね。
まあ、箱には「H.O.P.」についての説明は昔からありませんでしたが、その代わり8900番鉛筆の説明が加えられるようになりました。
書き味と使用感は?
とにかく、軸が軽いです。普段、軽めのシャープペンシルを使っていても、鉛筆はやっぱり軽い文房具だなと思ってしまいます。
カッター削りでは、ちょっと鉛筆ごとの個性が大きくてなかなかうまくやりにくいかもしれません。鉛筆の軸材が、半分を境に違う方向の木目だったりするので、一方は硬く、他方は柔らかく、とか。
HBでの鉛筆の芯は、筆圧が強めですとなかなか消耗します。芯が鋭利なときは割と濃いめの筆跡ですが、しばらく使って丸くすると芯の硬さが目立ちます。脂身のない書き味です。
ただ、芯が急にガサガサしだすとか、軸が目に見えて反っているとか特異な性質も無いので、クセの無い万人向けの鉛筆と言えるでしょう。
8900番の仲間たち
8900-10番鉛筆
鉛筆1本の値段が印刷されている8900番鉛筆です。鉛筆の製造年を特定できる「ほり」も、現在の書式とは違うもので「UK」としか記載されておらず、「古い鉛筆」ということしか分かりません。
私の祖母が「8900-10」の、4Bを持っていましたが、どこかへ置いてきてしまったようです。
8900 V・P
同じ8900番を名乗る色つき鉛筆です。色は「しゅ・あい」の2色で、いわゆる「赤青鉛筆」です。
三菱鉛筆では、「赤青・赤のみ・青のみ・赤青7対3」のラインナップごとに番号を振っていますが、トンボ鉛筆の8900VPは共通のようです。
この鉛筆はいつでも便利に使われるようで、デッドストック品に出くわすことはなかなか無いでしょう。
近年は、この鉛筆の生産国を国内からインドネシアに移して生産しています。日本製のものは、2000年ごろまではあった気がしますが、もう忘れちゃった・・・
Hi-GOLD 8900
高級な芯を使った試作品、という程度しか知りません。
ある一定期間だけ発売され、すぐに市場から消えた物と思われます。
773-5
2010年4月に購入した鉛筆です。購入店には、3H、4Hがありました。買っては見たものの、これの硬度幅はいくらか、値段は、などはもう分かりません。
一般筆記用とのことですが、当の昔に廃番のようです。鉛筆の刻印は6辺のうちの1辺しかありません。「H.O.P PRODUCT」とあることから、「MONO」以前の高級鉛筆である4612番鉛筆が現行だったころの製品だと思われます。確信はありませんが・・・
MONO鉛筆いろいろ
このセクションの更新日時は2013年1月16日です。
基本は昔に確立、名称変更・デザイン変更ものも多い。
三菱鉛筆は赤青の色鉛筆に種類が多かったり、ダーマトグラフなどがあったりで魅力的ですが、黒鉛を使う黒色鉛筆ではトンボ鉛筆も健闘しています。その割には、MONO鉛筆を全部置いておくお店はそんなに無い。なんでかな?
今売っているMONO鉛筆すべて
どの鉛筆も、ピアノブラックでかっこいい。
階級詳解~最高級から
MONO100
1967年発売の当時1本100円で、MONOシリーズの最高級品として発売。
現在は1本税込147円(1ダース1800円程度)です。MONO100だけを使っても、違いが良く分かりませんが、MONO-Jや、8900番鉛筆と味比べをしてみると、なかなかすごい鉛筆であることが良く分かります。ガシガシ使っている割に消耗が少なく、筆跡は滑らかで、MONOの消しゴムでさらりと消し去ることができます。
現在、1ダースのケースは下記のMONOと似たようなものに変更されています。
1963年発売の当時1本60円でした。MONOシリーズの中心的存在です。
現在は1ダース1134円で発売継続中です。この1ダースにはおまけとして(開いた空間の埋め草的に)特殊なMONO消しゴムが付いてきます。これは三菱鉛筆の「uni」でも同様です。
大き目の雑貨屋や文具屋には必ず売っています。なかなか高級感もあり、そして高級鉛筆にふさわしい性能を持ちます。使用感は全体的にMONO100に近いもので、それには及ばないものの芯の消耗も少なく、甲乙つけがたし。
MONO以前は、MONO50と言う鉛筆がこの階級にありましたが、デザインはMONOに似たもののようです。それよりもっと前は「OFFICE」とかいうものらしいですが私にはもう分かりません。
MONO-R
1本63円、1ダース756円という、お手ごろでありながらMONOらしい使用感を実現した鉛筆です。硬度幅は、2Hから4Bまでです。高級な事務用品を想定して作られたようで、芯はちゃんとMONOの品質ですが、軸の品質はMONOやMONO100に譲ります。カッター削りをするとむむっとくるかもしれません。
1ダースの箱は2種類あり、伝統的なプラスチック製のものと、省資源を謳う紙パックのものがあります。紙パックのほうは名前が「MONO-R・S」となります。
この鉛筆もデザインの変更がされていて、初期のMONO-Rは頭の鉢巻が白色で、後に金色になりました。現在も金色のままです。
あと、私の手元には、公式の硬度幅には存在しない謎の「6BのMONO-R」があります。
MONO-J
1本53円、1ダース630円と、MONOシリーズでもっとも安い階級の鉛筆です。ただ、上流階級のMONO-Rよりも硬度幅が広いので、デッサンもできる?高級鉛筆のMONOブランドとして、書きやすさには力が入れられている印象がありますが、軸の品質・塗装にはそれほど気を使っていないような感じです。
MONOの鉛筆の中ではとても軽い部類に入り、安めなので、ちょっとしたスーパーの文具コーナーに置いてあったり個人経営の文具屋にも売っていたりします。
この階級のMONO鉛筆はなかなか名前が安定しない時期がありました。次に紹介するMONO30がMONO-Jの前身のようで、MONO30はなぜか頻繁にデザインが変更されました。
MONO30(廃番)
廃番品です。
MONO-Jの前身ですが、MONO Jより塗装が厚く、重いです。同階級の鉛筆としては重厚な塗装ですが、やっぱり元の軸は軽めです。
また、現行のMONO-Jの同硬度よりも筆記感触が脂っぽい感じです。
相当回転の悪い文具屋に行けば死蔵されていることがあります。
MONO30という鉛筆
このセクションの更新日時は2013年2月11日です。
現在のMONOJの先祖
MONO30は、現在のMONOJが発売されるまでの間に、MONOJと同じ価格帯の製品として名を知られていました。なぜか分かりませんが、MONO30は、軸のデザインなどが細かく変更されたようです。写真にとって集めてみました。
この写真には、一番上が現行のMONOJが写っていて、その下にすべてデザインの違う MONO30があります。
私の手元には、白塗り頭のMONO30の硬度Bが1ダースあります。なかなか古そうです。この写真では、一番下の黄ばんでる箱です。
箱の裏には、心をつかむ売り文句が並んでいます。なんだか強そうです。
MONO30の箱は、これでも数あるうちの1種類であるらしく、他のホームページなどをブラついてみると、また違った箱の写真が出てきます。よくこんなに頻繁にデザイン変えられたね。
この白塗りBのMONO30を使ってみた感想は・・・芯が柔らかめで、滑らかに筆跡が残ります。その代わり芯の減りが早く、すぐにカッター削りの時間になってしまいます(私はカッター削り派)。軸の塗りは現在のMONOシリーズに通じる黒塗りで、ピアノのピカピカの黒歯を思わせます。心なしか、現行のMONOJより塗りが 厚めのような気もします。
このページについて
元の記事
過去に公開していたWebサイト「文具とカメラに埋もれる日々」から、以下のページの内容を複写し、デザインを今のWebサイト向けに合わせました。
- トンボ鉛筆 8900・773番
- トンボ鉛筆 MONOいろいろ
- トンボ鉛筆 MONO30(廃番)
8900番鉛筆、現在のデザイン
この記事を作成した当時とは軸の銘入れが異なるものになっています。軸色は同じです。
MONO Rの硬度
2025年6月現在、MONO Rの硬度は2H, H, HB, B, 2B, 3B, 4B, 6Bの8硬度が正式にラインナップされています。
価格について
2025年現在、各鉛筆の希望小売価格は以下のようになっています。(全て12本入り、税抜き)
- 8900番 600円
- 8990番 VP 840円
- MONO 100 1,800円
- MONO 1,200円
- MONO R・S 840円
- MONO J 720円