訪問記
ハーフサイズカメラ写真展
訪問記
ハーフサイズカメラ写真展
photo kanon
2024年9月11日 東京 戸越銀座
クロモリ
クロモニウム
残暑厳しい2024年9月の第一週、SNSで見かけて気になっていた「ハーフサイズカメラ写真展」が、9月11日に会期終了になると知った。急遽最終日に東京行きの予定を立てて見に行くことにした。
地元から特急電車でお上りさんを決めて、写真鑑賞以外の所用を済ませてから戸越銀座駅を目指した。
14:06 戸越銀座駅
五反田駅で東急池上線に乗り換えて、戸越銀座駅までやってきた。木造の屋根裏、壁面を形作る木材パネルが日差しに照らされ、風呂屋の木桶のような香りを漂わせている。
改札を出ると、右手に踏切、左手に商店街が伸びる。私が目標にした写真展の会場は左手側にあるようだ。行く方向を決めると、Googleマップの案内図を表示したスマートフォンをポケットに押し込んだ。
国道1号線(桜田通り)を横切り、東へ歩く。時計を見ると14:10だそうだ。気温は高く蒸し暑い。
14:15ごろに、写真展の会場に着いた。
ハーフサイズカメラ写真展
白壁のカフェのようなお店の前に、私が求めていた「ハーフサイズカメラ写真展」のポスターが掲げられていた。私は扉を開けて中に入った。
しばらくぶりに、カラー感材を現像する甘酸っぱい香りをかいだ。懐かしい香りだ。火照った身体を覚ます時間も確保したかったので、しばらく時間を取って作品鑑賞することにした。
壁一面に咲くイメージの小窓
ハーフサイズカメラというのは、現物を操作したことのある方なら分かると思うが、とにかくシャッターが押せるカメラだ。24枚撮りのフィルムが、倍の48枚撮りに化ける。36枚撮りのフィルムを入れようものなら、70枚ほどの写真を撮らないとフィルムが終わらないのである。だから、「これは写真に収めるべし」と心に決めたら、連写したって良いくらいだ。
露出もピントもカメラ任せになっているハーフサイズカメラも多い。ピントの位置が4つほどしか無いなんてよくある事。カメラのことを気にせず、好きな光景を写真に撮ってくださいと言っているかのようだ。
そうしたカメラの特性を反映してか、写真作品は自由で伸び伸びとした印象のものが多い気がした。今の感覚で言えば、スマートフォンで撮影した写真の雰囲気に近いのだろうか。撮影者のまっすぐな視線を感じる、すがすがしい写真展だった。
令和最新式フィルムカメラ(ハーフサイズ)について感じたこと
PENTAX 17の写りの良さが個人的には気になった。全体の何割かは忘れてしまったが、PENTAX 17で作品を作っていた作家が何人かいた。色乗りがよく、ピントも良く出ている。作品世界に入っていくのを邪魔しない見事な描写に惚れた。
フィルムはまだまだ生きている。カラーネガフィルムは値段がかなり上がったが、ハーフで撮れば半額…などとよこしまな思いを抱きつつ、家に眠っている35mmフルサイズのカメラを使えよ!と手元のカメラの声を聞いて写真展を後にした。